偽曲 ゆっくり幕が上がる。 薄暗い舞台。中央にスポットライトを浴びてトマトケチャップ一瓶。 客席には円楽の蝋人形が紛れ込んでいるが客は気付いていない。 |
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舞台下手より学生服風の衣裳に身を包んだ石橋連司風の男が登場。 |
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偽連司 |
「ほう、これが新しい笑点の会場とは…これも時代ってやつ、かね」 |
偽連司、おもむろに煙草に火をつける。 それを合図にゆっくりと円楽人形の口からケチャップが流れ出す。 しかし観客は気付いていない。 |
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偽連司、煙草を一口だけ吸ってその場にしゃがみ込む。 |
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客席から矢が飛んでくる。偽連司の頭部を掠める。 |
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偽連司 |
「誰だ!!」 |
くすくすと笑い声。当然円楽人形の口から。客席を睨みつけるレンジ風の男。突然ニッと笑顔になり、客席に向って義眼を飛ばす。 |
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偽連司 |
「おっと、大事にしてくれよ。貴重な猫目石の義眼(いれめ)なんだからな」 |
無反応の客席。偽連司ややたじろぐ。 いつのまにか舞台中央のケチャップがマヨネーズになっている。 偽連司が何か言おうとしたところで、上からゴトリと何か落ちてくる。小遊三の蝋人形である。 |
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偽連司、横たわる小遊三人形の口に煙草をくわえさせる。 小遊三人形は瞬く間にドロドロと溶けだし、中からカセットテープが現れる。 |
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テープ
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テープから途切れながら服部校長の声。 「…マヨネーズは…卵が酢を包むことで…油との分離を…」 偽連司、怯えて耳を塞ぎ、逃げ出す。 |
ジプシーキングス「ジョビジョバ」大音量でカットイン。暗転。暗転中クロスで読経。 明転すると、田舎のパーマ屋。 |
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颯爽と、バク転で池谷弟登場。舞台中央で会心の笑みでポーズ。 しかし、慌てて出てきたスタッフに連れ去られる。 単なる予想外のハプニング。 |
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客席で顔をしかめるケインと照英。その横で大爆笑するロニー・コールマン |
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スモーク噴出。舞台中央にゴンドラでパーマ屋店長(林家ぺ-)登場。(BGM・ワルキューレの騎行)客席に下りてロニーと握手。そのままロニーを舞台に上げる。 |
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ぺー |
「お客さん、今日はどんな髪型にしましょう?」 |
ロニー | 「ニグロアイパー」 |
効果音「HAHAHA!」(フルハウス等で使われるアメリカ人観客の笑い声) |
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ペーがロニーに鋏を突き付け、大声で喚く。 |
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ペー |
「鳥のケツでヤッテやがるなんて、漢字検定が聞いて厭きれるぜ!」 |
ロニー |
「俺の小鳥ちゃんの方がてめえの緩みきったワイフより具合がいいんだよ!」 |
ぺ-、逆上してロニーを斬り付ける。 |
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パー子 |
割れたロニーの中から小さいロニーが出てくる。それを斬り付けるとまたロニーが。 会場がロニーで埋め尽くされる。 そこへパーマ屋のおかみさん(林家パー子)舞台上手より掃除機を持って登場。 乾いた笑い声を響かせながら会場のロニーを掃除機で吸い込んでゆく。 「キャハハハハ駄目よ〜こんなに散らかしちゃ〜キャハハハハ」 |
R&S |
舞台下手袖から、ラッツ&スターがラフな格好で登場。 「手伝いますよ、パー子さん」(ラフな口調で。) ロニーを丁寧に折り畳んでユニクロの紙袋に詰め始める。 |
紙袋は帰りの際、観客に土産として手渡される。 R&S数曲歌って退場。以下、ぺ-、パーによる誕生日漫談三十分。 観客、終わらない漫談にブーイングを始める。飛び交う罵声。 いつのまにか用意されていたパイで、パイ投げに発展。 大混乱の中、戻ってきた偽蓮司が投げられているパイの秘密を見破る。 |
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偽蓮司 |
「やめろ、そのパイのうち4つには」 |
言い終わる前に偽蓮司の顔面にパイ炸裂。偽蓮司、顔についたクリームを舐める。 |
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偽蓮司 |
「こ、このパイは…!」 会場、静まりかえり、固唾をのむ。 |
偽蓮司 |
「これはPTAからの苦情が来ない、クリームだけのパイだ!ちがう、これじゃない!」 |
会場、さらに固唾を呑み見守る中。 パー子、絶頂に達する。(クリーミーに) その刹那、眩い光が股間から吹き出し、 呪いが解け、パー子が姫(はしのえみ)になる。 騒ぎの間舞台中央でホビージャパンを読みふけっていたペーも呪いが解け、千里子に変身。 |
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姫 |
「ちょっと千里子、次のお店はどこなの?早くしなさいよーう。」 千里子、いやいや昔のブランチにタイムトラベル。 (場面転換) |
千里子 |
「ということで今日は恵比須ガーデンプレイスにやってきました」 |
いつのまにか観客は蛭子能収一人。大量の汗をかいている。 蛭子、ニヤニヤ笑いながらポップコーンを食べている。足元に大量にまき散らしながら。 床に滴り落ちた蛭子の汗とポップコーンが反応して、シアン化水素酸が発生、 蛭子は死亡。 |
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千里子 |
「あれえ?なんか静かなんですけどー。お休みなのかなー」 |
姫 |
「みんな死んだのよ」(ニコリと笑って) 不意に舞台背景が崩落し、一千羽の鳩が飛び立つ。 |
鳩 姫 |
「クルックー」 「さようなら、世界!被害者面した加害者の群れ。甘ったれた泣き言を垂れ流し傷口をなめあう人々よ!」 |
千里子 |
「解からない、千里にはわからないよ、はしのさん」 オーケストラピットはパッヘルバルのカノンを奏でる。歯軋りで。 客席には一千羽の鳩の糞が雪のように舞い散る。 |
姫 |
「そしてこんにちは新しい私!姫は今日からアイドルあややとして生きていきまーす!」 |
後ろから本物のあややさん、登場。しかし、姫、気づいていない。 あやや、体中に鷹を止まらせ大階段を下りてくる。鳩を狩るために。 姫、恋愛トーク絶好調。未だあややに気づかず。 いつのまにか鳩たちが、スーツを着た鳩人間になり、客席に着いている。 全員、彫像のように動かない。 動かない鳩人間。あやや爆発。ミンチ降る劇場。 |
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姫 |
「びっくりしたぁー」 客席もミンチ一色。 |
千里子 |
「明日は、俺たちがミンチになるかもしれない」 『ハンバーガー・ヒル』〜完〜 |