からの

〜神奈川漂流記〜











「そうだ、山ごもりしようぜ!」

酔った勢いで、二人の引きこもりが発言した。
廃虚サイト「新しいページ」管理人の、五月九太郎氏と、
私こと佐山史織(武術家26歳)である。
鬱病を患っている五月氏は、魂の再生の旅として、
そして私は新必殺技の習得とダイエットを目標とした。

それに呼応して、二人の戦士が立ち上がった。
「旅と METALと 無限軌道履帯式走行機構(R改) 」管理人で、
私の高弟でもあるノビ氏と、
その友人で「21世紀の松方弘樹」こと、
釣り師あーけおろじい氏である。

三泊四日、行き先は「東京湾唯一の自然島」、猿島と決まった。
なんと、無人島だそうだ。その響きはロマンをかき立てる。
準備は順調に進み、出発前夜は興奮で眠れぬ夜を過ごした。

そして、当日。我々は、港へ向かった。

この先、どんな恐ろしいことが待ち受けているとも知らずに…







そこで我々を待ち受けていたのは、東郷元帥だった。



後ろは戦艦三笠である。金を払えば内部も見れた。
しかし、誰も金を持っていなかった。
ちなみに、付近に売店もあり、
焼酎「東郷」、戦艦三笠文鎮、等のレアアイテムも売っていた。
しかし、誰も金を持っていなかった。

猿島は軍港だった歴史もあり、
発着所にはこんな看板もあった。



我々の間に緊張が走る。
そう、これは物見遊山ではないのだ。
命を賭した荒行、サバイバルなのだ。







「そろそろ船、出るよ」
切符を買った我々の装備を、船員が一瞥した。
なんだろう。島を舐め過ぎているとでも言うのだろうか。
寝袋もテントも水も用意してあるが…

「泊まる気じゃないですよね」
「えっ?」
「キャンプとか禁止なんで、泊まるなら他所をお探し下さい」
「?!」

船員は言う事は言ったとばかりに、
呆然とする我々には目もくれず、他の客の切符をもぎ始めた。

彼の話を要約するとこうだった。

・猿島は国有地であり、そこでキャンプするとナントカ侵入罪になる。
・焚火の煙が上がるとテロリストだと思われる。
・海上保安庁に捕まる。
・米軍の砲撃対象になる

最後のはあり得ない、というか国際問題だ。

「大体、天気見ました?これ以上風出たら欠航するんですよ。
明日も船出ません。明後日も出ません。そうしたら食料とか何日分も無いでしょう?」
「一応、4日分持ってきているんですが」
「いや、持ってきてる時点で駄目なんですよ」(フッと鼻で笑って)

…じゃあなんで聞いたんだよっ!?















inserted by FC2 system