死の島からの帰還
〜神奈川漂流記〜
★ 「そうだ、山ごもりしようぜ!」 酔った勢いで、二人の引きこもりが発言した。 廃虚サイト「新しいページ」管理人の、五月九太郎氏と、 私こと佐山史織(武術家26歳)である。 鬱病を患っている五月氏は、魂の再生の旅として、 そして私は新必殺技の習得とダイエットを目標とした。 それに呼応して、二人の戦士が立ち上がった。 「旅と METALと 無限軌道履帯式走行機構(R改) 」管理人で、 私の高弟でもあるノビ氏と、 その友人で「21世紀の松方弘樹」こと、 釣り師あーけおろじい氏である。 三泊四日、行き先は「東京湾唯一の自然島」、猿島と決まった。 なんと、無人島だそうだ。その響きはロマンをかき立てる。 準備は順調に進み、出発前夜は興奮で眠れぬ夜を過ごした。 そして、当日。我々は、港へ向かった。 この先、どんな恐ろしいことが待ち受けているとも知らずに… ★ そこで我々を待ち受けていたのは、東郷元帥だった。 後ろは戦艦三笠である。金を払えば内部も見れた。 しかし、誰も金を持っていなかった。 ちなみに、付近に売店もあり、 焼酎「東郷」、戦艦三笠文鎮、等のレアアイテムも売っていた。 しかし、誰も金を持っていなかった。 猿島は軍港だった歴史もあり、 発着所にはこんな看板もあった。 我々の間に緊張が走る。 そう、これは物見遊山ではないのだ。 命を賭した荒行、サバイバルなのだ。 ★ 「そろそろ船、出るよ」 切符を買った我々の装備を、船員が一瞥した。 なんだろう。島を舐め過ぎているとでも言うのだろうか。 寝袋もテントも水も用意してあるが… 「泊まる気じゃないですよね」 「えっ?」 「キャンプとか禁止なんで、泊まるなら他所をお探し下さい」 「?!」 船員は言う事は言ったとばかりに、 呆然とする我々には目もくれず、他の客の切符をもぎ始めた。 彼の話を要約するとこうだった。 ・猿島は国有地であり、そこでキャンプするとナントカ侵入罪になる。 ・焚火の煙が上がるとテロリストだと思われる。 ・海上保安庁に捕まる。 ・米軍の砲撃対象になる |