武術の思想・死生観・おまけ宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』で、蠍がイタチから逃げて井戸に落ち、「無駄死するくらいなら食べられてやればよかった。自分も多くの命を奪ってきたのだから」というような事を言っていて、美談とされています。 しかし、武術的に見ると、食べられて死んでも良いというような考えなら最初から他の生き物を殺すべきでは無いし、殺してでも生きると決めたのなら、1%でも望みを捨てずに逃げ延びるべきです。 それで井戸に落ちても、まだ何らかの形で脱出することを諦めてはいけないし、よしんば死ぬのみだったとしても、その残り少ない生が無意味であるとは思いません。 武術は「自分は誰にも殺されない」という世界へ向けての意志表明なので。 |